京町温泉 玉泉館

国道268号線沿い、欧州風の急傾斜した屋根と手書きの看板が目に留まる。玄関を入るとフロント、出てきた女性の方に入浴料金を支払う。
館内を歩き出すと、モダンな外観とは裏腹に長い歴史を刻んだ宿であることが分かる。




浴場はフロントから右に折れ、突き当りを左に曲がり奥まで進んだ廊下の先にあった。隣り合って貸切湯、貸切露天(すっぽんぽん風呂)の入口がある。青い暖簾をくぐると脱衣所、思ったよりもコンパクトだ。木製の棚とプラ籠が並ぶだけの、至ってシンプルな空間だ。

扉を開けると浴室、中央に柱が立つ。低い天井が浴室をコンパクトに印象付ける。
浴槽はコンクリート製と思われる。飾りもなく至って簡素だが、形は七つの辺で構成されるほど個性的だ。



壺の口のような湯口からは絶えず熱い湯が注がれている。口に含むとヒノキと油を合わせたような味が舌に残る。浴槽を満たす湯は薄っすら潮濁りで、臭いは感じ取れない。
洗い場は2か所ある。コックをひねって出てくるのは源泉だ。2009年12月付けの温泉分析書に湯量の記述はなかったが、湯量豊富な自家源泉だからできるのかもしれない。




戸外には五右衛門風呂のような壺湯が2つある。段違いに設置され、大人一人がようやく入れる規格だ。周りは塀や壁が設置されて風景を楽しむことはできないが、限られた場所に個性溢れる演出で頭が下がる。




玉泉館は老舗の宿らしい。その証は館内の至る所で感じ取ることができる。部屋、大広間、廊下、あえてそのままを守り続けているようにも思える。


京町温泉 玉泉館
えびの市向江647-1
0984(37)1550
単純温泉
55.3℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯 壺風呂
300円
貸切湯 一人500円/60分
10:00~21:00
2017/1/3